こびとの ウィルと パーシーは にんげんに みつからないよう、こっそりと おしろで くらしていました。しかし おしろの おひめさま だけは ふたりの ことを しってました。ふたりが みつからないように まもってくれる とても なかのいい ともだち でした。
あるひ おしろの だいどころに りょうりにんの シェフコックさんが はいって きました。
「おいしそうな リンゴが たくさん とどいた。そうだ、リンゴの パイを つくろう。おひめさまは きっと よろこんで くれるだろう。」
シェフコックさんが かごを テーブルに おくと リンゴが コロンコロンと ころがり シナモンの はいった つぼに ぶつかりました。つぼは テーブルから おっこちて だいどころは シナモンの においで いっぱいに なりました。
「ゴホッ、ゴホッ、なんて ひどい においなんだろう。」
ウィル と パーシーは せきを しながら そう おもいました。
「ああ、たいへんだ。りんごパイに いれる シナモンを おとしてしまった。モーネルさんの おみせに いって かって こなければ。」
おそうじ しながら シェフコックさんは いいました。
それを きいた ウィルは おどろきました。
「パーシー、たいへんだ。シェフコックさんが、りんごの パイに シナモンを 入れようと しているよ。おひめさまが たべてしまったら、どうしよう。」
「こんなに くさいものを たべるなんて!やめさせないと。そうだ、いいことを おもいついた。」
ふたりは いそいで したくを すると、シェフコックさん よりも さきに モーネルさんの おみせに いきました。
モーネルさんは なまけもので いつも ねむってます。おみせの しごとは いつも おくさんが していました。
パーシーは リュックの なかから はいいろのぬのを とりだして ネズミの かっこうを しました。そして みせの なかを はしり まわりました。
「こら、いたづらネズミめ。」
おくさんは ホウキを もって ネズミを おいかけている うちに そとに でてしまいました。
はたらきものの おくさんが いなくなり、みせの なかは いびきをかいて ねむっている モーネルさんだけに なりました。ウィルは モーネルさんの ちかくに かくれました。
しばらくすると シェフコックさんが はいって きました。
「ごめんください モーネルさん。シナモンは ありますか。」
「もうしわけ ございません、シナモンは うりきれて しまいました。また こんど どうぞ。」
かくれながら ウィルがそういいました。
「そうでしたか。それは、ざんねん。ところで さっきから グーグー おとが します。なんの おとですかな。」
「じつは、しごとが いそがくて あさごはんを たべることが できませんでした。おなかが すいて ぐーぐー、ぐーぐー。うるさくて すみません。」
「いえいえ、おしごとを がんばるのは とても いいこと です。しかし おからだには おきをつけください。それでは。」
そういうと シェフコックさんは かえって いきました。
ウィルとパーシーはよろこびました。
「これで、リンゴのパイに シナモンを いれることは できないぞ!」
ところが、おしろの キッチンに ふたりが もどると どういうことでしょうか、シェフコックさんは シナモンを なべの なかに いれていました。
おみせに シナモンが ないので、じぶんの いえから もってきたのでした。
ウィルとパーシーは
「や、やめろー」
と、いいましたが、うたいながら シナモンを かけていたので こびとたちの こえは きこえませんでした。
ふたりは しかたが ないのて、おひめさまの ところへ いき、りんごのパイに シナモンが はいってることを つたえまたした。
「シナモンは とても ひどい においです。たべない ほうが いいですよ。」
「ふたりとも、ありがとう。でも、わたし、シナモンの はいった リンゴのパイは だいすきよ。とっても おいしいから いっしょに たべましよう。」
りんごのパイを たべた パーシーは とても おいしいと おもいました。
ウィルは シナモンの あじが ないほうが おいしいと おもいましたが おひめさまが えがおなので、よかったと おもいました。













